「つ」「く」「し」も難しかった息子が、一生懸命に頑張って名前のかたちを覚えた。
かたちを覚えただけで、字としては読めなかったが、かたちにはなった。
できたね!やったね!と二人で喜びあった。
ついつい「もっと丁寧に書いたら?」と言いたくなるくらいの、パッパッとかたち通りに手首を動かしているだけの字だったが、書けたのだ。名前だ。よかった。
練習を繰り返して、名前だけは忘れずに、お手本なしで書けるようになったな、というところで
ノートの「なまえ」の欄のところに名前書きの練習をさせた。
息子は「なまえ」の欄を無視して、ノートの表紙の真ん中のイラストの上に名前を書いた。
よく書けていた。
が、やっぱり「ここから教えなくちゃいけないのか!」と思った。
ちょっと顔に出ていたと思う。不安そうな表情をしていた。
よく書けていたのは本当なので、プレバト!の夏井先生の真似をした。
「いいところからほめるね!とってもよく書けてるよ。字も間違えていないし、読めるように書けている。いい字だよ。違うのは、名前を書く時には名前を書く場所があるんだよ。今から名前を書く約束の場所を教えるね」
息子は「そうなのか」という表情をして、名前欄の四角を教わった。
今から考えたら、指でなぞらせて、指だけで名前をちゃっちゃと書かせて、指で覚えさせても良かった。
100円ショップに行った時など、名前の記入欄がある商品を指さして「ここにお名前だね」と言っていたら
キッチン用品や引き出しの中に何が入っているかを書くネームプレートの部分を指さして「ここにお名前だね」と言ったので、ついでに「これは中に何を入れたかわかるようにするために、中のもののお名前を書くんだよ」と説明した。
今から考えたら、この時に「絵やイラストのマークでもいいんだよ」と付け足したら良かった。
この時の息子は、まだ「な」も「ま」も「え」も読めなかった。
名前欄は教えたら理解したので、それでよかった。