黒板の撮影機器をカメラに決める。
特別支援学級で撮影する練習をする。
黒板撮影する教科を決める。
遊びにつかわないよう、学校にカメラを持ち込むためのルールを子供と決める。
このあたりまでで10日くらいだったと思う。
息子がストレスで爆発的に泣き出してしまった。
「もう!ヤダ~!」
と布団に顔を埋め、何度も何度も布団を叩いた。
板書のストレスが溜まりすぎてしまった。辛かったのだ。
私は個人的に「希望を持たせておいて、希望を取り上げる」が一番可哀想だと思っているので、
ここの段階まできていても、息子に一度も
「学校でカメラが使えるから、黒板の字を書かなくても大丈夫になるよ」
といった言葉をまったくかけていなかった。
カメラの持ちこみがダメだった時の落胆を考えると、とてもじゃないが言えなかった。
わーわーと泣きじゃくる息子の背中をなで、落ち着いてから
「学校でカメラが使えると思ってた?」
と聞くとうなずいた。練習までしているのだから、そう思うだろう。
「もう、カメラを使いたい?」
と聞くとうなずいて
「練習が長すぎるよ…子供の時間には長いんだよ…」
とまた泣いた。
息子が黒板を撮影するという行為にこだわっていたのは、私だった。
一生、読み書き障害があるのだから、早いうちに「自力」でできるようにとこだわりすぎていた。
すぐに学校に連絡して、
「黒板の撮影は大人である先生にお任せいたします。授業中の読み書きする量をすぐに減らすべきでした」
と、先生に撮影をお願いすると同時に、明日からでもカメラ撮影をはじめてノートに字を書かなくてすむようにお願いした。
先生側はカメラにクラスメイトが写ってしまう、クラスメイトの肖像権の心配が強かったようすで
「担任が撮影をするのなら、撮影ごとにカメラをチェックする必要がなくなります、明日からでもはじめましょう」
と本格的に授業でカメラ撮影をはじめることが決まった。